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ワン コイン コンサート  上田希さん  兵庫県立芸術文化センターにて [音楽  コンサート]

One Coin Concert  上田 希 ~ クラリネットの魔術師

2005年 11月 30日 (水) 11:30開演  大ホール

CL 上田 希  P 藤井快哉

 

先日初めて兵庫県立芸術文化センターの大ホールで演奏を聴きました。

上田希さんのクラリネットです。

上田希さんを聴くのは実は2度目で、アメリカから日本に帰ってきたばかりの頃に聴いて ”なんて上手な人なんだろう” とびっくりしたので今回は迷わず行きました。はやくホールの中も見たかったですしね。

事前にチケットを購入していなかったのでちょっと早めに行きましたが、すでに8割ほど売れており、正面の後ろか4階のバルコニー席かと言う選択だったのでバルコニー席を買いました。

バルコニー席は横からになるとはいえ、前の方だと奏者に近くなります。それと私のイメージでは舞台に近いバルコニー席は王侯貴族の特別席のイメージがあり、結構好きなんです。 

 

そうこうするうちに演奏が始まりました。上田さんはやわらかい生地の赤いチャイナ服と白のパンタロンで華やかに登場されました。

 今回はトーク付きの演奏会で、ホール側からは何をしてもいいと言われたそうです。

最初は ミヨー の スカラムーシュ

2台ピアノでよく演奏されますが、今回はクラリネット+ピアノです。軽やかな演奏でした。

 

次は A.シュライナー  だんだん小さく

上田さんは ”さあ何が小さくなっていくんでしょう。” と私たちに質問を投げかけながらの演奏です。ピアノの弦のところに楽器ケースを置いてましたが、クラリネットを分解しながら演奏していくユーモアのある曲です。

そう、この曲を選んだ上田さんは朗らかでユーモアあふれる魅力的な人柄です。姫路(白鷺城のある城下町)出身と言うこともありますが、都会っ子というよりちょっと素朴系かもしれません。

その人柄は音色にも現れ、伸びやかなあたたかい音色です。

 

次に P.ジャンジャン  『月の光に』によるアクロバット的変奏曲

 初めて聴く曲ですが、説明付きだとすっと入れます。かなり難度の高い技巧的な曲です。

 

そして最後は、サン=サンーンス  動物の謝肉祭  

上田さんの編曲でCL+Pにしてあります。

ここでも上田さん流のユーモアが顔を出します。

まず1曲目の ”序奏” の最初を今回の伴奏者 藤井さんと連弾し、ピアノデビューを飾られました。

その後はESクラリネット(普通のクラリネットはB♭管又はA管でそれより小さく高い音がします。)とバスクラリネットを用意し、”この曲はどちらのクラリネットで演奏するのがいいのかお客さんに聞いてみましょう” といって座席番号で指名していかれます。

最初の方ではいかにもぴったりの楽器を選びますが、何曲かするとわざと違う方を指名する人も出てきます。(そういうことが許される雰囲気なんです。)それでもちゃんと演奏されます。 が  ”一応両方用意したんですけど、こちらも演奏させてください。” と、ぴったりの方も演奏されます。

そのときの受け答えがまたとってもいいんです。ホール全体が暖かい雰囲気に包まれ、観客と演奏者が一体になっていました。

 

1時間の予定が20分ほどオーバーし(私はいっぱい聴けてラッキー)、たくさんのエネルギーをもらいました。今回のコンーサートで上田さんのファンになった方も多いのはないでしょうか?

上田さんはすでに実績のある演奏者ですが、一般では知らない人もまだまだいらっしゃると思うので、こういうワン コイン コンサートに出ることでファン層が広がるのはとっても意味のあることだと思いました。

そのうち帰国後間もない演奏者などもここで演奏していきデビューを飾っていくようになるでしょう。

 

今回ピアノを弾かれた藤井快哉さんは伴奏はもちろんですが、きっと独奏でもとてもすばらしい演奏をされると思います。またこのホールで演奏を聴くことが出来るように思います。楽しみです。

 

あっそうです。当日のピアノはスタインウエイでしたが、きっとおろしたてなのでしょう。まだ音色が硬いです。これからたくさんの人に弾かれて練れた音になっていくのでしょう。それも楽しみです。

 

今回のワン コイン コンサートのありがたいことは、500円と言うこともありますが、

平日の昼間に演奏されることです。誰に気兼ねすることなく行くことが出来ます。やはり小学生の子供を持つ身に夜のコンサートはちょっと無理です。

子供を無理やり連れて行ったとしても、気に入らなければ騒ぐかもしれないし、そうなると演奏者や周りの人に迷惑をかけますから、なかなかそういう気になれません。

休日は親子のすごすことにしているのでみんなで行けそうなプログラムならいいですが、そうではないとちょっと…です。

そのせいか演劇やミュージカルは平日の昼の部はけっこういっぱいだし、主催者側もそういう体制で上演しています。

 あと500円なので初めての演奏者でも冒険と思わずに聴きに行くことができます。

 

ここからは辛口なので気になる方だけどうぞ。

 

私は以前から音大卒後間もない人が3000円5000円の入場料を取るコンサートをすることに対して疑問を持っていました。

すでにコンサートを何回も開き実力のある人はいいですが、そうでない人が人にお金と時間を供出してもらう価値のある演奏を提供できるのかということです。

おさらい会の延長でコンサートを開き、親戚友人にチケットを持ってもらうのが当然という世界が私には理解できませんでした。

今回のようなコンサートを重ねファンを増やしていく。最初は小さいホールからだんだん大きなホールをいっぱいに出来るになっていく、これが本筋だと思います。

ちょっと話はそれますが吉本方式ですね。吉本の芸人さんは素人のときは無料で、芸人になっても最初は500円1000円が出演料で、そこからさらに税金を取られ交通費を払ったら赤字が出る というところから出発します。

そこから生き残った人だけが続けていけるのです。だから中堅どころは実力もあるし層も厚いです。

クラッシクの世界も同じでないといけません。これからはこうして実力のある人達がここから育っていくことでしょう。とっても楽しみです。

 


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コメント 4

comment

兵庫県立芸術文化センター
案内は頂くのですが まだなのです。。。
一度 行きたいと思っています。
by comment (2005-12-04 19:42) 

Gotton Factory

luluさん、ぜひぜひ行ってくださいね~。
by Gotton Factory (2005-12-04 19:51) 

こーさん

コンサートづいてますね。うらやましい!
クラリネットの上田さん、素敵な方ですね。「さあ、何が小さくなっていくんでしょう」って、ワクワクします。
ワクワクしたり、ほっこりしたり、体の芯までしびれたり、音楽っていいです。最近疲れ気味なので、生音を聴いてエネルギーを充電したい・・・。
お金の価値は人それぞれかもしれませんが、「親戚友人にチケット買ってもらって当然」というのはちょっと、ね。
私の従弟が吉本の芸人なのですが、約10年やってて舞台やTVで経験を積んでても、いまだ月10万円の世界です。ま、これは売れてないってことか(笑)。
by こーさん (2005-12-04 21:50) 

Gotton Factory

いえ、いえ、月10万って吉本じゃあ稼いでる方じゃないですか?
年収10万って聴いたことがあるような気が…。
30歳で ”若手” ですもん。 あの世界。
あのHGさんだって1年ぐらい前はきっとスケジュールすかすかだったはずですよ~(笑)
吉本の芸人さんって売れてくるのって30代半ばになってからなのかなあ。
実力つけて経験積んで、その一方で自分の友人がサラリーマンで年収○○万なんていうのに耐えれるかどうかなんでしょう。
好きじゃないと続かないんでしょうねえ。そのかわりブレイクしたら息長いですよね。一発屋はほとんどいないと思いますよ。
従弟さんがんばってくださいね~。
大阪人は吉本の芸人さん好きですよ~。大阪の誇り。
あそこはお笑いのエリート集団だと思っています。(^_^)v
by Gotton Factory (2005-12-05 06:11) 

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